【硬膜外麻酔】オペナース新人のための手技と安全な看護の要点

オペナース
オペナースマン
オペナースマン

呼吸器科や外科の低位前方切除術などの身体侵襲が高い手術だと全身麻酔+硬膜外麻酔やりますよね。でもなんで硬膜外麻酔(エピ)をやるのか?疑問に思った方、参考になると思いますのでよってらっしゃいみてらっしゃい。

新人オペナースにとって、硬膜外麻酔の知識とその管理は非常に重要です。硬膜外麻酔は外科手術において広く使用される手法であり、その効果と安全性を確保するためには、適切な知識と実践経験が欠かせません。

この記事では、新人オペナースが現場で直面する硬膜外麻酔に関する基本的な知識と具体的な注意点や手順を解説していきます。

まず、硬膜外麻酔の基礎知識として、薬剤選択や穿刺部位の注意点を理解することが不可欠です。また、病棟ナースなら副作用や術後管理、エピのカテーテルの観察要点についても十分な観察が求められます。次に、硬膜外麻酔の注意事項と対応策について説明し、特に麻酔が原因で足が動かなくなった場合の対処法や、合併症に対応について紹介します。

オペナースマン
オペナースマン

7年間やっていて足が動かなくなった事例がありましたので後ほど解説したいと思います。

硬膜外麻酔の手技に関する詳細や経過観察のポイントを解説するとともに、適応やエピフラッシュの具体的な手順についても触れます。また、条件およびトラブル対応に関しては、正中法と傍正中法の違い、合併症例への看護実践など、実践内容を見てみましょう。

最後に、その他の重要情報として、副作用のリスクマネジメントやコールドテストの実施方法についても解説いたします。これで新人オペナースが硬膜外麻酔に対する不安をなくし、現場での安全な実践と対応できるようになります!

新人オペナースのための硬膜外麻酔基礎知識

新人オペナースが知っておくべき硬膜外麻酔の基本について解説します。

硬膜外麻酔とエピの副作用の重要ポイント

硬膜外麻酔(エピ)は、手術室で利用される麻酔方法の一つとして非常に重要で、患者の痛みを緩和するために広く用いられています。ただし、この麻酔には副作用があります。具体的には、低血圧、頭痛、感染症、神経損傷などが挙げられます。こうした副作用が発生した場合、迅速に対応することが求められます。また、オペナースは患者の異常を早期に把握し、適切な看護を提供することが不可欠です。特に硬膜外麻酔薬のポプスカインやアナペインを投与する場合、副作用の発生どのような影響があるのかを理解しておかねばなりません。あと知っておきたいのは禁忌ですね。以下の通りが禁忌となります。

硬膜外麻酔の病棟での術後管理とリスクの把握

術後管理は、硬膜外麻酔の効きと患者の早期離床に重要な役割です。疼痛のコントロールは、患者の快適な術後の入院生活のために不可欠です。そのため、看護師は術後のリスクを的確に認識し、モニタリングを徹底する必要があります特に、硬膜外麻酔を受けた患者には術当日の持続的なバイタルサインの観察が求められ、不整脈や血圧の急激な変動にも注意を払わなければなりません。患者の状況に応じて、鎮痛薬の調整を含む医師の指示に対応することが求められます。

硬膜外カテーテルの看護および観察要点

硬膜外カテーテルの適切な管理は、手術後の患者ケアにおいて非常に重要です。具体的には、カテーテルの挿入部位の感染を防ぐため出血がないか、位置の確認を誤らないようにすることが求められます。

オペナースマン
オペナースマン

体位変換が必要な患者の場合カテーテルが引っ張られていないか確認しましょう。抜けてしまったインシデントが起きたことがあります。

新人ナースは、カテーテルの取り扱いに関する知識をしっかりと身につける必要があります。通常、カテーテル管理は、挿入部位の周囲の皮膚の発赤や膿の有無を確認すること、そして患者に不快感や異常がないかを観察することなどです。薬剤の投与量が適切であるかを常に確認することが大切です。

オペナースマン
オペナースマン

シリンジェクターの接続が緩んでいないか、フローセレクタータイプだと増減の切り替えができるので流量が合っているのか確認しましょう。接続が緩んでいてシーツがびしょびしょになったら、叫ぶ気持ちを抑えて医師への報告とシーツ交換をしましょう。

硬膜外麻酔の残量チェックの手順

硬膜外麻酔の残量チェックは、疼痛コントロールに重要な手順です。残量を正確に把握することで、麻酔の効果の維持と過剰投与のリスク回避が可能となります。

残量確認は観察時に実施し、患者の状態に応じて調整を行います。麻酔の効果が切れる前に残量が適切に維持されているか確認しましょう。

オペナースマン
オペナースマン

量が減っていない、または減りすぎならシリンジェクターかフローセレクターに異常があるかもしれません。先輩ナースにあれれ〜?おかしいぞ〜?と相談しましょう。

硬膜外麻酔に関する注意事項と対応

注意事項と対応を知ることで、硬膜外麻酔の安全な管理ができます。

硬膜外麻酔で足が動かない時の対応策

硬膜外麻酔を使用した場合、時折、足が動かなくなることがあります。これは、麻酔が運動神経に影響を及ぼすことが原因です。まずは、患者へ麻酔の影響かもしれないので医師に伝えて対応しますという説明と安心を与えて、医師に報告をしましょう。

症状が続く場合は、医師がエピを抜去することで運動神経への影響が改善されるケースが多いです。

また、麻酔の投与量が多い場合、麻酔量の調整を行うことで解決することもあります。このような事象が起きたら定期的な神経チェックと迅速な対応が重要です。

新人ナースに必要な看護ルーチン

新人ナースが硬膜外麻酔のケアを行うにあたり、必要となる看護ルーチンを確実に把握することは、患者の術後観察の基本です。最初に、患者の情報収集をしどんな手術をしているのか、観察のポイントはなにかを繰り返し行うことで術後の観察する能力が身についてきます。定期的な観察と記録は、術後管理において非常に重要です。また、患者の症状に応じた迅速な対応が求められるため、予定されたルーチン作業ができるようにしましょう。

硬膜外麻酔による合併症とその看護

硬膜外麻酔による合併症は、患者の健康に影響を及ぼす可能性があるため、迅速な看護が必要です。最も一般的な合併症には、硬膜穿刺後頭痛、硬膜外血腫、感染症などが含まれます。これらの合併症は、新人ナースが早期に認識することが重要です。副作用や症状が現れた場合、医師への報告を行うことが患者の健康を守る鍵となります。また、患者とのコミュニケーションを通じて「ん?なんか変だな?」と気づける能力を磨いていくことも看護の重要な要素です

神経損傷による症状の早期発見と対応

神経損傷は、硬膜外麻酔のリスクの一つであり、迅速な対応が求められます。病棟ナースは、術後の患者の神経状態への観察を注意深く行う必要があります。症状としては、感覚の消失や異常な運動障害が起こることがあります。神経損傷が疑われる場合、すぐに医師に報告し、適切な治療を行うことが必要です。患者が異常を感じた場合は、詳細な質問を行って正確な状況を把握し、それに基づいた対応を取るよう努めることが重要です。下図のように硬膜外麻酔は神経に非常に近い位置にカテーテルが留置されるため、位置がズレたり麻酔の量が多い場合は運動神経に影響を及ぼす。というわけです。

硬膜外麻酔の手技および経過観察のポイント

手技と経過観察のポイントを把握し、正確な麻酔管理をしていきましょう。

硬膜外カテーテルの目盛りの見方と管理

硬膜外カテーテルには目盛りがあります。その正しい見方を理解し、管理することは新人ナースにとって基本的観察です。目盛りは、投与量の正確さを確保するために重要な要素であり、患者の安全を守るためには見落としてはなりません。また、目盛りの読み取りに細心の注意を払うことは、誤った投与を防ぐために不可欠です。薬剤投与が適切に行われているかどうかを確認する習慣を身につけ、繰り返し行うことが必要です。

観察項目の整理と日々の記録の重要性

硬膜外麻酔を受けた患者の観察項目の記録は、患者の安全を守るために重要です。観察項目には、バイタルサインの変動、痛みの程度、刺入部からの出血の有無などが含まれます。これらを管理し、日々の変化を詳細に記録することで、患者の状態を正確に把握し、迅速な対応が可能となります。新人ナースとしては、観察の優先順位を見極め、効率的な記録法を身につけ、普段から記録をつける癖を心掛けることが大切になります。

硬膜外麻酔の目的とその適切な適用法

硬膜外麻酔の目的は、主に術中および術後の痛みを効果的に管理することにあります。適切な方法を理解することは、患者の安全・安楽に繋がり、手術の成功に貢献する重要な要素です。この麻酔方法は、硬膜外腔に麻酔薬を注入することで、神経伝達を阻害し、知覚を鈍くさせ痛みを軽減します。適用にあたっては、患者の病歴や現状を考慮し、最適な方法を選ぶことが求められます。

後遺症としての背中の痛みへの対応策

硬膜外麻酔の後遺症として現れることのある背中の痛みは、患者にとってかなりのストレスとなることがあります。そのため、速やかな対応策が求められます。このような後遺症は、カテーテルの刺入部位や姿勢による圧迫が原因となることが多いです。まずは患者に対する痛みの評価を行い、それに基づいた鎮痛薬や早期離床を促します。また、痛みが続く場合には、リハビリ計画の検討も重要です。定期的なモニタリングを続け、患者とスタッフとの間で密なコミュニケーションを取ることが大切です。

エピフラッシュの具体的な手順を学ぶ

エピフラッシュとは、硬膜外麻酔中に使用される手法で、疼痛がコントロールが得られない場合に行われます。具体的な手順を理解することは、安全な麻酔管理に役立ちます。エピフラッシュを行う際は、まずカテーテルの位置確認を確実に行ってから薬剤を少量ずつゆっくりとフラッシュします。薬剤の濃度や量に応じたフラッシュ頻度を把握し、フェイススケールで観察することが要求されます。手技は医師の指示に基づいて行われ、新人ナースは、手順を学び、安全を考えて実施することが求められます。

硬膜外麻酔の条件およびトラブル対応

硬膜外麻酔の条件とトラブル対応を知り、効率的な管理を実現しましょう。

正中法と傍正中法の違いと選択基準

硬膜外麻酔の挿入方法には、正中法と傍正中法という主に二つの方法があります。それぞれにメリットおよびデメリットがあり、選択基準は患者の状態や手術内容で変わります。正中法(メディアン)は、解剖学的に神経に対する影響が少ないとされ、比較的安全に取り扱える方法です。一方、傍正中法(パラメディアン)は、瘢痕組織などの障害がある場合に有効な方法とされています。

合併症例に対応するための看護実践

硬膜外麻酔に伴う合併症例は、迅速かつ適切な看護実践が求められます。合併症には、交感神経を遮断することから血圧低下や徐脈になる場合があります。あとは感染、出血などがあります。合併症を早期に発見し、適切な措置を講じること必要です。新人ナースは、訪室時の観察と異常時は医師への報告が求められ、どのような異常が合併症を示唆するのかを把握しておくことが重要です。医師との連携を保ち、患者に応じた迅速な看護ケアを提供するために日々の経験を積むことが大切です。

硬膜外カテーテル挿入部位の適切な選択

硬膜外カテーテルの挿入部位を知ることは、術後の硬膜外麻酔の管理に必要不可欠です。適切な部位の選択は、患者の解剖学的特徴を考慮する。新人ナースが知っておくべきことは、挿入部位が異なることで疼痛管理や麻酔の範囲が変わる可能性があるという点です。実践経験を積みながら知識を深めていくことが大切です。

オペナースマン
オペナースマン

糖尿病がありHbA1c高値(6.0以上)の患者は傷を治す力が弱いため感染のリスクが上がるので要注意です。

排尿障害が生じた際の看護アプローチ

硬膜外麻酔施行後、患者が排尿障害を起こすことがあります。排尿障害は、麻酔が膀胱の神経に影響を与えることで起こることが多いため、患者の状態をよく観察することが求められます。排尿の困難を訴える患者には、一時的な導尿をしてみる、促進薬の投与それでも自尿が出せない、残尿感があるなら泌尿器科コンサルからのブラッダースキャンなどが適応になります。

硬膜外麻酔のテストドーズの目的と意義

硬膜外麻酔のテストドーズは、麻酔投与前にその安全性と効果を確認するために行うのに重要です。テストドーズの目的は、麻酔薬が意図した硬膜外腔に確実に注入されたかを確認することにあります。これにより、薬剤が誤って血管内に注入されてしまうことによる有害な中枢神経系の合併症を未然に防ぐことが可能です。一般的に、少量の麻酔薬を最初に注入し、その後、患者の反応を注意深く観察します。オペナースは、テストドーズの重要性を理解し、患者の安全を最優先に考えた麻酔管理を実践することが重要です。

硬膜外麻酔に関するその他の重要情報

ここでは硬膜外麻酔に関して知っておくべき重要な情報を提供します。適切な知識を持つことで、リスクを最小限にし、患者の安全を確保します。

足が動かない場合の対応と期間の見通し

硬膜外麻酔後に足が動かなくなるという症状は、特に麻酔が運動神経に影響を与えている場合に発生しえます。こうした事態が生じた場合、新人ナースは適切な対応を取ることが重要です。まず、患者に対する安心の提供と、症状が一時的なものであることを説明することが大切です通常、麻酔の効果が完全に切れるまでには数時間から場合によっては数日かかることもあります。回復の期間を見通しつつ、経過観察を続け、必要に応じて適切な体位変換を行います。

オペナースマン
オペナースマン

病棟にいた頃この事例に対して不安で泣いた患者さんがいました。知識がない患者にとって足が動かないのは一生なのかもと怖かったんだと思います。抜去して翌日には足が動いたので私もとても安心しました。あの時もっと知識があれば説得力のある言葉をかけて安心させられたのかなーと今でも思います。知識って大切だなと改めて思った事例でした。

副作用の把握とそのリスクマネジメント

硬膜外麻酔の副作用を把握し、リスクマネジメントを徹底することは患者の安全を確保するうえで必要不可欠です。低血圧や頭痛、神経損傷などの一般的な副作用は特に意識して管理する必要があります。これらの副作用を未然に防ぐために、新人ナースは予測されるリスクを理解し、範囲内で何が起こり得るかを考えることが重要です。また、異常を早期に発見し報告する体制を整えるとともに、異常が発生した場合はリーダーに報告し適切な対応ができるようにしましょう。

コールドテストの正しい実施方法

コールドテストは、硬膜外麻酔の効果を確認するための方法の一つであり、適切に実施することで、患者がしっかりと麻酔が効いているかの判断ができます。テストを行う際は、冷たさを感じる感覚を患者に確認し、麻酔がどの範囲まで効果を発揮しているのかを測定します。テストは部位ごとの感覚評価で行い、麻酔のカバー範囲が予定通りかどうかチェックします。オペナースには患者に対して分かりやすく説明し、患者がテストに協力的に参加できるよう配慮することが必要です。

オペナースマン
オペナースマン

当直明けで疲れている麻酔科医はいきなりコールドテストしようとする場合があるので、患者にはダチョウ俱楽部の氷風呂のかけ声のように「やるよ!やるよ!冷たいよ!」と念押ししましょう。

硬膜外麻酔をしない理由と判断基準

硬膜外麻酔を行わない理由としては、患者のアレルギー、既存の疾患、血液の凝固障害の存在、または最近の感染症の履歴などが挙げられます。適用除外基準を理解し、それに基づき麻酔がどのような流れで手術開始まで辿り着くのかメンバー同士把握して手術に臨みます。禁忌の画像を振り返りましょう。

まとめ

硬膜外麻酔についてまとめました。適応や作用、禁忌、病棟管理の方法などを知ることでなんとなくやっていたことがそういうことだったのか!と1つでも思えてもらったら嬉しいです。この記事を読めばオペ室でも病棟でも役に立つので参考にして明日からも頑張りましょう!

外部リンク

硬膜外麻酔をさらに知りたい方向け

コメント

タイトルとURLをコピーしました